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職場で光る法友たち

社会の第一線に立つ法友たちは、光に向かう親鸞学徒にふさわしく、それぞれの職場で輝きを放っている。

敏腕女性弁護士の奮戦 夜の海で事件を再現

夜の東京湾を走る漁船から、ウエットスーツ姿の女性が海に飛び込む。船はみるみる遠ざかった。冬の海は冷たく、波にのまれてなかなか泳げない。着けていた命綱をたどって何とか舟べりに着いたが、1人ではよじ登れず、漁船員3人に引き上げられた。

この女性は、東京で活躍する山田佳子弁護士。

「海に落ちた人を、漁船から1人で助けるのは容易ではない」と実感したという。

数年前、この東京湾で操業中の漁船員2人が死亡し、1人が重傷を負う事件があった。その被告人男性を、山田弁護士は担当した。

亡くなった1人は漁船から海に落ちて水死したが、裁判では、「この時なぜ、被告人は助けようとしなかったのか」が問われていた。殺意を判断する上で重要な争点だった。

1年以上裁判が続いたあとで、初めて被告人が、「助けようと思ったけれど難しかった」と口を開いた。金銭トラブルからの事件だったが、十分反省している被告人がウソをつくとは思えなかった。それを確かめたくて山田弁護士は漁船を借り、自ら海に落ちた人になってみたのだ。

「殺人が悪いのは当然なので、被告人には自分の非を認め、心から反省してほしいです。それにはまず、本人の言い分を正確に裁判官へ伝えねばと思っています。そして被告人には因果の道理を話します」

山田弁護士は、東京湾での「実験」写真を裁判官に提出し、海に落ちた男性の救助が困難だったことを伝えた。「そこまでしてくれるとは思わなかった」と語った被告人は、以前より心が安定してきたという。

一方この事件で見逃せないのは山田弁護士が、重傷を負った被害者の生活支援にも力を入れたことだ。「犯罪被害者給付金」の前提となる後遺症の診断の際に、病院へ意見書を提出。生活保護が受けられるよう市役所と掛け合った。

「弁護人には感謝している」という被害者の言葉は、弁護士の「勲章」だと思っている。

こうした山田弁護士の、仏法精神に基づいた活動は多岐にわたる。その一つが、著作権法の改正作業だ。

最近、レンタルコミックや漫画喫茶など、不特定多数の人に本を読ませたり、貸し出したりするビジネスが広がっている。多くの本が利用されていても、著者には何の金銭的見返りもないのが現状だ。

著作権をテーマに横浜で開かれたサミットでの集会の資料は、すべて山田弁護士が作成した。

「『CDやビデオには、著作者に貸与権が定められているのに、本にないのがおかしい』と訴えています。因果の道理という言葉は使いませんが、『努力した成果が本人に返るように』と話します」

国会で改正法案を通過させることを目指し、出版業界や文化庁、経済産業省の担当者と話し合い、飛び回る毎日でもある。

※名前は仮名です