
人は孤独の中にある
平成19年10月18日更新
秋が深まると枯れ葉が風に散るように、人生も後半に差しかかると、周囲から次々と人が離れていく。結んだはずの人との絆も、気がつけばただの残像でしかない。
この夏、大手文具メーカーの前会長(60)が、覚せい剤の不法所持で逮捕された。
「社長を退任した途端、自分をちやほやしていた取り巻き全員が新社長になびき、孤独を感じた」。
辣腕を振るい、不振な経営を再建したが、気がつけば妻と別居。生活も乱れたという。
「好奇心と、孤独から逃れるために始めた」
供述からは、転落したトップの悲哀が漂う。一人留置場で還暦を迎える心境はいかなるものか。

誰に言ったところで分からぬものがある。心は、核心に近づくほど語れない。他人との間には、埋めがたい断層があると気がついた時、誰しも茫漠たる荒野にひとりたたずむ自己を見つける。
お釈迦さまが「独生独死 独去独来」と喝破なされたとおり、人は皆、永久の孤独の中にある。 無底の寂寥に耐え、光に向かう者にこそ、真実の幸せが待っている。